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『陶芸は生きがいになる』
林寧彦/著 新潮社 2021年
伝統とは縁遠いCMプランナーとして博報堂で働いていた著者は、40歳を目前に「趣味探し」の1つとして通い始めた陶芸教室がきっかけでその面白さにハマり、遂には早期退職までして陶芸家を目指すことに。単身赴任先のマンションに100万円もする陶芸窯を設置したり、プロになった後も、陶芸の先生としてのスキルを得るために偽名で陶芸教室に入会したりと、著者が陶芸にのめりこんでいく様が描かれている。
『裂き織り大全』
箕輪直子/著 誠文堂新光社 2015年
裂き織りとは、古着や古布をひも状に裂いて糸にし、織り込んだ布のこと。「もったいない」という日本の伝統的な精神風土から生まれた織物だが、色の組み合わせや素材、織り方を変えることにより現代的なデザインのバッグ類を多数掲載。染織家である著者が、素材や伝統技法を求めて佐渡や津軽、フィンランドにまで出向いた様子も紹介され、裂き織りの新たな一面を見せたいという心意気がうかがえる。
『継 金継ぎの美と心』
清川廣樹/著 淡交社 2021年
割れてしまった陶磁器や漆器などを、漆を用いて修理する「金継ぎ」。漆芸修復師である清川は、「壊れること」が悪いことではなく、そこに「未来をもう一度作り直す」意義があるとし、金継ぎに共通点を見出しているようだ。本書は、金継ぎの歴史や手法、修復例を紹介するほか、割れ・欠けがあるがゆえの不完全さから生まれる美を見出す精神、時を超えて思いを繋ぐ「修復」という仕事に対する思いが語られている。日英対訳。
『こびとの世界 Mozuミニチュア作品集』
Mozu/著 玄光社 2021年
「自分の部屋に小人が住んでいたら」という幼少期の空想を実現したミニチュアの作品集。あまりに精巧すぎてミニチュアだと伝わらなかったので、大きさの対比としてコンセントと一緒に撮影することにしたとのこと。作品の中にある極小のトイレは、3Dプリンタを使って作製したそうだ。小人の存在を確信させる生活感の再現は見事で、驚異の再生回数を記録した動画の制作裏話や、各パーツのメイキングも掲載されている。
『カタンドール』
天野可淡/人形、エッセイ 吉田良/写真、エッセイ
エディシオン・トレヴィル 2007年
37歳で夭逝した人形作家、天野可淡の作品集。量産品として生産される人形とは違い、一体一体が手作りで制作されており、眼差しや表情などは不気味だが目を離せない迫力がある。どれもこれも、一度見たら忘れられない作品だが、魂を込めて「ものをつくる」ことの奥深さや恐ろしさを感じられるだろう。本人による短い随筆からは、人形を作る際にどのような思いを込めていたのかを感じ取ることができる。
『手織りのタータンチェック』
明石恵子/著 誠文堂新光社 2021年
タータン、千鳥格子、グレンチェックなどカラフルで魅力的なスコットランドチェックのデザインを多数掲載するほか、著者が自ら訪れたスコットランド各地で見聞きした織りの歴史と文化を紹介。卓上サイズのリジット織り機を使った手織りの方法が詳しく分かるので、初めて織りに挑戦したい方にも向いている。また、オリジナルのチェック柄を作りたい方に向けて、図と写真を多用しながら色合わせをアドバイスしている。
『凄い!ジオラマ<改>』
情景師アラーキー/著 誠文堂新光社 2018年
情景師アラーキー氏の世界観はどこか懐かしく、人間臭さに溢れている。朽ち果てた廃墟やトタン屋根の錆、ごみ箱に捨てられた空き缶など、「ここで何があったのか」を想像させる力がある。ジオラマを精巧に作るだけでなく、そこに時間が流れているかのような小さな情景描写が彼の魅力で、作品それぞれへの想いが写真と共に綴られている。作品集としてだけでなく、製作技法や作品の効果的な撮影方法についての情報が満載だ。
『トコトンやさしい3Dものづくりの本』
柳生浄勲/著 結石友宏/著 河島巌/著
日刊工業新聞社 2017
3Dプリンタなどのデジタル機器を使って、三次元の立体物を製作するための基礎がよく分かる本。材料を1層ごと積み重ねて立体化する「積層造形」の仕組みや、3D−CADソフトを使った立体モデルの作成方法、3Dプリンタの構造、完成物の材料となるフィラメントの種類や特徴などについて、丁寧に解説する。この本を読んで「実際に作ってみたい!」と思った方は、中央図書館のファブスペースへどうぞ。
『ものづくりっておもしろい!おもちゃから乗り物まで』
小林竜太/著 偕成社 2022年
使う人も見る人も楽しい気持ちになる「ものづくり」をコンセプトに、アイデアを形にする手順を子どもにもわかりやすく紹介した本。何かを作るには、物の観察や分解により仕組みを知ることが重要だとのこと。口から消毒液を吐き出すペンギン型のアルコールディスペンサーや、AIカメラで料理の種類を判別して自動で適した調味料をかける醤油差しなど思わずニヤリとするものが多く、読むと「想像力」と「創造力」が高まりそうだ。