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母が伝える家庭料理

  食を大切にという理念や、良き信念を掲げて出版された多くの料理書は、家事全般の指導書としても長く愛読されてきました。家庭でつくるおかずのレシピは、基本に忠実に丁寧に作られたものも多く、懐かしいものです。これらは、母から娘へ伝えてきた手作りの味を、私たちに教えてくれます。  
画像:『料理上手になる勉強』

 『料理上手になる勉強』

今井偕子/著 婦人之友社 1977(昭和52)年

  創刊109年を数える『婦人之友』は、創業者羽仁吉一・もと子夫妻の「よい家庭からよい社会がつくられる」という信念から生まれた、家庭雑誌の先駆である。
  婦人之友社は、年月を経ても古びない内容の料理書を出版し、この本も、昭和37年に刊行され、若い世代の家庭における家事全般の指導書として愛読されてきたものの新版である。
  調理方法だけでなく、台所の掃除や客人のもてなしまで、細やかな心配りが述べられ、当時の丁寧な生活ぶりに頭の下がる思いがする。巻末に索引あり。

画像:『あなたのために』

『あなたのために いのちを支えるスープ』

辰巳芳子/著 文化出版局 2002(平成14)年

  料理研究家の先駆けとなった母・辰巳浜子氏の傍らで家庭料理を学んだ著者は、自宅で「スープの会」を主宰している。
  本書は、父親の看護の経験から「つゆもの」の重要性を説き、病院食への貢献を願って書かれた。スープの種類を図式化し、材料の選び方からだしの取り方まで丁寧に紹介。和の汁ものはもちろん、日本人の口に合わせた洋風スープにもこだわっている点が印象的だ。
  母親ゆずりの食と命への温かいまなざしを感じる一冊である。

 
画像:『近代料理書の世界』

『近代料理書の世界』

江原洵子、東西柳祥子/著 ドメス出版 2008(平成20)年

  江戸時代の料理書に比べ、明治以降の料理書については研究が遅れていた。 <
  本書は明治以降、昭和5年までに出版された料理書800余点の目録を収録した書誌である。そのうち特徴のある本については「近代料理書100選」として詳細な解説が付けられている。料理書全体の概要を解説した章もあり、近代料理書についての読み物として、近代生活史としても活用できる内容である。

画像:『ベターホームの家庭料理』

『ベターホームの家庭料理』 

ベターホーム出版局/編 ベターホーム出版局 1980(昭和55)年

  核家族世帯でよく作られる和洋中華を含む料理142点を掲載している。30年以上も前に出版された本だが、1ページに1品で見やすく、巻末に料理名の五十音索引があり使いやすい。
  ベターホーム協会は、1963年に主婦たちの勉強組織として発足し、「誰が作っても、書いてあるとおり作っていけば失敗なく、おいしく作れる」を基本としている。
  読みながら、使いながら、料理の知識が増えていく喜びを感じられ、料理をすることが楽しくなっていく本。

画像:『城下町・津山 母が作ったハイカラ料理』

『城下町・津山 母が作ったハイカラ料理』

高山瑩、江見東母子/著 中経出版 2010(平成22)年

  昭和20〜30年代に、岡山の城下町で開かれていた小さな料理教室。そこに通っていた一人の生徒が書き残していた3冊の料理ノートがきっかけで本書は生まれた。教室を開いていた先生の息子である高山氏と、生徒の娘である江見氏が、ノートを元に味を再現し、昭和の良き時代の母の思い出を語る。
  故郷・津山の料理の他、調理器具も満足にない時代に、ワッフルやミートローフなど、工夫を凝らした料理には、母親の愛情が溢れている。

画像:『小林カツ代の「おいしい大阪」』

『小林カツ代の「おいしい大阪」』

小林カツ代/著 文藝春秋 2008(平成20)年

  大阪出身の著者が、両親の作ってくれた家庭料理から、子供のころから通い続けるお店のおいしい料理まで、約90品の思い出を大阪弁で綴ったエッセイ。値段はピンキリでも思わず食べたくなる料理ばかりである。著者の原点として食べるものへの興味、おいしいものに対する愛情があるが、それが強く感じられる本となっている。
  きれいなイラストも収録され、読者からの要望で一部の料理には簡単なレシピもついており、自分でも料理して楽しめる。

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