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スポーツを読む(1〜3)

稲垣正浩/著 三省堂 1993

拳闘(ボクシング)、ランニング、槍投げなど多数の競技が詳細に描写され、古代オリンピック競技へ発展したとも言われる、ホメーロスの『イーリアス』。現在の大相撲とは大違い、果し合いにも似た相撲の最初の記述がある『日本書紀』。このほか、『クォヴァディス』、『ガリヴァー旅行記』から島崎藤村の『破戒』まで、古今東西の有名な文学作品の中でスポーツがどのように登場しているかを着眼点とした研究書。ルール化、組織化、国際化を迎える前のスポーツ文化を知ることができる。

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時よとまれ、君は美しい

齋藤愼爾/編 角川書店 2007

少年の頃から強く正しい者を志ざす次郎が、正義に値しないものから遠ざかるため、一心に剣道に打ち込み、行き着いた先を描いた「剣」(三島由紀夫/作)。大人になって離ればなれになった元少年野球団のナインたちに今も残る心のつながりと、その核となるエピソードを描いた「ナイン」(井上ひさし/作)。そのほか、試合中のボクサーの独白で構成される「時の崖」(安部公房/作)、倉橋由美子による陸上競技「100メートル」など、昭和を代表する作家たちがさまざまなスポーツに打ち込む人々の“心”を描いたアンソロジー。

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うりずん

吉田修一/著 光文社 2007

「うりずん」とは、沖縄地方の言葉で、体を動かしたくてむずむずとする季節のこと。本書は、スポーツをテーマにした写真家佐内正史と小説家吉田修一のコラボレーション作品で、前半は写真集、後半は各写真のイメージに沿って書かれたショートショートという構成になっている。スポーツを楽しむ人々の様子や躍動感、人が日常生活の中でふとスポーツをしたいと思う瞬間などがよく描かれ、読者をスポーツに誘う。さわやかな読後感の20編の物語。2004〜2006年にスポーツ雑誌『VS.』(光文社)で連載された。

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スポーツを「読む」

重松清/著 集英社 2004

本書は39人のスポーツライターを取り上げ、著者の比較や、著作の紹介と考察などが時代背景も絡めて読みやすくまとめられている。例えば、村上春樹の項では『Sydney!』(文藝春秋刊)というスポーツノンフィクションを紹介しながら、彼がオリンピックというスポーツの祭典を退屈と捉えていることに触れる。一方、村上龍はお祭り好きとして取り上げ、二人のスポーツに対する対照的な姿勢や表現について考察している。タイトルにはスポーツとあるが、むしろ著者個人に焦点があてられているので、内容的には「スポーツを書く人を読む」というほうがしっくりくるだろう。また、各著者のスポーツ以外の分野の著書も紹介されている。

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スポーツドクター

松樹剛史/著 集英社 2003

夏希はバスケットボール部のキャプテン。高校最後の試合前に怪我で膝を痛めるが、不安はあるもののキャプテンとしての責任感から、当然試合に出るつもりだった。夏希の怪我を見抜いたスポーツドクターの靫矢(うつぼや)は、医者として一時は試合出場を止めるが、ある方法で出場を可能にする。夏希は、患者の日常生活や環境に着目し、人の繋がりや気持ちを大切にしながら治療する靫矢の手腕に魅せられ、彼の病院でアルバイトを始める。過酷な練習で肘を壊したリトルリーグのエース、過食症の水泳選手、ドーピング問題を抱えるアスリートなど、病院を訪れる選手達の症状には皆、深い心の傷が隠されていた。心と身体の両方の傷を癒そうとする靫矢と、彼を助けようと奔走する夏希の姿を描く。

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