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ユーラシア大陸



 ヨーロッパ、ロシア、アジア・・・。とても広大な範囲、個性的な国々、とてもとても限られた冊数に選びきれるものではありませんでした。代表的な国々から1〜3冊程度ずつに絞り込むだけで精一杯。残念ながら載せられなかったものもありますし、私たちの知らない名作も数々あると思いますが、ご容赦いただければ幸いです。  それぞれの国ごとに、語学の本、和書、洋書取り混ぜて並べています。

画像:比類なきジーヴス

比類なきジーヴス

P.G.ウッドハウス/著 森村たまき/訳 国書刊行会 2005年

バーティは、階級制度は崩れつつあるものの紳士が職業を持つのは無作法とされていた時代に、イギリス郊外の邸宅ではなくロンドンのフラットに一人で住む紳士です。惚れっぽい親友や破天荒な従兄弟たちの行動に、自らの性格も手伝いしばしば困った状態に追い込まれます。それをあっさり解決するのが冷静沈着な執事のジーヴス。事件の解決とともにジーヴスの意にそぐわないバーティの真っ赤なベルトや紫色のスパッツなども見事に葬り去られます。一連のシリーズでジーヴスワールドが堪能できます。

画像:椿姫

椿姫

デュマ・フィス/著 西永良成/訳 光文社古典新訳文庫 2008年

高級娼婦マルグリッドと青年アルマンの悲恋物語。青年との出会いで初めて誠実な愛を知ったマルグリッドですが、身分の違いを理由に青年の家族から説得され、真実を伏せて身を引きます。青年の気持ちや行動を予想して愛する気持ちとは裏腹な態度をとる彼女の感情が丹念に描かれています。作中の「私」がアルマンの告白やマルグリッドの日記をもとに小説にする形をとっている本作は、作者の経験をもとに書かれたとされています。

画像:アンネの日記

アンネの日記 増補新訂版

アンネ・フランク/著 深町眞理子/訳 文藝春秋 2003年

ドイツ占領下のオランダで、ユダヤ人の少女が隠れ家で書き綴った『アンネの日記』。ドイツ秘密警察に連行されるまでアンネは日記を書き綴っていました。従来、少女の父が他者への配慮などの理由で編集したものが広く読まれていました。けれどもジャーナリストになる希望を持っていたアンネが公開を想定して自らの手で推敲した原本は、14歳前後という多感な時期の感情を才気あふれた筆致で瑞々しく表現した作品となっていました。
この版はアンネが最初に書いたAテキストと公開を見込んで清書したBテキストをもとに編集された英訳版を底本に、1998年に新たに発見された部分を追加して翻訳編集したものです。

画像:アルプスの少女ハイジ

アルプスの少女ハイジ

ヨハンナ・シュピリ/著 関泰祐・阿部賀隆/訳 KADOKAWA 2006年

ハイジはアルプスの山奥で祖父と暮らしていました。ところがある日突然、フランクフルトのお屋敷に連れていかれて、車椅子の少女クララのお相手をすることに。しかし山恋しさから夢遊病を発症したハイジは再びアルプスの山へと帰るのでした。著者は医師の娘、牧師の孫として生まれ、野山や小川に囲まれた農村で育つ中、教会で詩の美しさにも触れていました。雄大に描かれるアルプスの山の大自然からは著者の故郷を思う気持ちが強く感じられます。

画像:紅楼夢

紅楼夢

曹雪芹/著 伊藤漱平/訳 平凡社 1996年

中国清朝時代の名家に次男として生まれた主人公は、生まれたとき口に宝玉をくわえていたことから宝玉と名付けられます。美しいものを好み、俗なことを嫌がる宝玉は、詩を作ることには熱心でも宮廷に出仕するための勉学は嫌がりました。少女の清らかさを愛する宝玉と、彼を取り巻く親族や侍女、またその下働きなど、様々な女性たちの物語が集まり、絡み合って進んでゆきます。登場人物の心の内が詳細に描かれ、運命に翻弄される悲しみが伝わってきます。

画像:娘について

娘について

キム・ヘジン/著 古川綾子/訳 亜紀書房 2019年

夫を亡くして一人暮らしをしていた「私」は、生活に窮した30代の娘と同性の恋人を同居させることになってしまいました。娘の恋愛関係を受け入れられず、周囲に悩みを打ち明けることもできません。勤め先の介護施設に暮らす孤独な老女に娘の将来を重ね合わせ、次第に夫・妻・子という形に囚われない家族の在り方を考えるようになります。韓国の現代社会に生きる性的マイノリティの人々と、その家族の葛藤を描いた作品です。

画像:冬姫

冬姫

葉室麟/著 集英社 2014年

織田信長の娘冬姫は、美しい容姿とそれに似合わぬ大胆さから信長に愛され、信長が信を置く蒲生氏郷に嫁ぎます。信長の没後の激動の時代を、運命に翻弄されながら愛する夫と信頼する家臣と共に生き抜いていく様を描いた歴史長編です。信長の側室お鍋の方や妹お市の方、冬姫の異母姉五徳など他にも生き様も描かれ、婚家での地位の保ち方や子供を世継ぎにするための戦略など、戦国時代の壮烈な「女いくさ」は現代にも通じるところがあります。



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