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予測と原因

 1963年の世界的異常気象を契機に、気象庁において異常気象の調査が開始された。氷期の再来とみなされた地球寒冷化の予測の後、地球の温暖化の予測が出され、その後のオゾンホールの出現やエルニーニョなどの現象について、原因が追求された。世界では現象の科学的分析と過去の調査が進んだが、異常気象の原因の特定は容易ではなく、予測は新たに起こる現象を受けて修正される。

『核の冬』

増田善信/著 草友出版 1985年

 1983年、カール・セーガンら5人の科学者により衝撃的な論文が発表されれた。核戦争によって生じる塵や煙により地表が覆われ、地球規模の気象異変が起こるという研究レポート「核の冬」を、気象学者である著者が詳細に分析する。25年前の著作であるが、今なお世界が懐に抱き続ける核兵器の恐怖を、あらためて思い出させる。

画像:『都市型集中豪雨はなぜ起こる?』

『都市型集中豪雨はなぜ起こる?』

三上岳彦/著  技術評論社 2008年

 都市部のごく狭い地域で、短時間に起こる集中豪雨。時に恐怖を感じさせるほどの突然の豪雨は、猛暑と並んで、私たちにとって切実な問題の異常気象ではないだろうか。過去の事例をデータや図表とともに紹介し、その原因となるヒートアイランド現象や発生のメカニズムなどに言及、さまざまな切り口で都市型集中豪雨の謎に迫る。 

画像:『地球温暖化の予測は「正しい」か?』

『地球温暖化の予測は「正しい」か?』

江守正多/著  科学同人  2008年

 温暖化とは、「人間活動のせいで地球全体の温度が上がっていく」ことである。国立環境研究所に勤務する著者は温暖化研究の専門家で、中立的な立場から温暖化を解説している。しかし、現在の温暖化の予測は完璧ではない。不確かな未来に挑む研究の最前線からの報告を通して、適切に温暖化予測に向き合うための知識が得られる。  

『地球温暖化 日本はどうなる?』

環境庁地球環境部/編  読売新聞社  1997年

 地球温暖化により、生態系の変化、豪雨や干ばつの増加、海水面の上昇、水資源や食糧生産の減少などが数世代にもわたって起ころうとしている。地球温暖化はなぜ起こるのか、日本の自然や産業に温暖化がどのように影響するのか、人類ができる取り組みは何かについて、イラストや図表を使いわかりやすく解説している。

画像:『異常気象時代 いま何がおこっているか』

『異常気象時代 いま何がおこっているか』

朝倉正ほか/著 講談社 1984年

 「過去30年間、あるいはそれ以上の期間にわたって観測されなかったほどかたよった天候」を、異常気象と呼ぶ。日本では、1980年代に4年連続して水稲不作になった。不作がこれほど続いたことは過去100年間なかったことである。本書は、天候や海洋、そして農業の視点から、異常気象について考察している。異常気象の年表付き。

画像:『地球温暖化時代の異常気象』

『地球温暖化時代の異常気象』

吉野正敏/著  成山堂書店 2010年

 本書では、熱波と寒波、台風、洪水、植物の異常開花など、あらゆる事象から異常気象を分析している。ゴヤの絵画の中に偏形樹を見出したり、2007年の猛暑によって日本で売れ筋となった商品を紹介するなど、世界各地、神話時代をも含むさまざまな時代の異常気象をおりまぜながら、現代の異常気象への理解を促す。

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