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旅行記

  椎名誠は「旅する作家」である。気温零下59度のシベリアから55度のオーストラリアまで、実に様々な場所を旅している。その原動力になっているのは、旺盛な好奇心と、持ち前の行動力であろう。子どもの頃から、本に書いてあることが気になると、即座に確かめなければ気がすまなかったようだ。また、探検記を夢中で読んだ。
 イラストレーターの沢野ひとし氏達と「あやしい探検隊」を結成し、日本や世界の島々等で野外生活などに挑んでいる。その記録として『わしらは怪しい探検隊』シリーズがある。
 旅の魅力については「知らない世界を目にしたとき、価値観は変わり、それら未知なものに対応していくたびに思考が広がり深くなっていく」と著書の中で語っている。
画像:シベリア夢幻

『シベリア夢幻』

椎名誠 情報センター出版局 1985

 1984年から1985年、二度にわたって世界で最も寒い地域シベリアを横断したときの旅行記。右ページ文、左ページ写真という構成で淡々と極寒の地シベリアの風景が伝えられる。また、使われている写真は全部白黒で、そこに映し出された空や雲や大地は夢の中のようにぼんやりと膜が張ったように煙って見える。そして、息も凍る街で生きる男・子どもたち、ゆきかう馬車、市場、公園もぼんやりと映る。

画像:草の海

『草の海』

椎名誠 集英社 1992

 ロシアと中国という巨大な国にはさまれ、チンギス・ハーンによって栄えた騎馬民族の国モンゴル。人々は大平原に羊や馬を放牧しながら、ゲルとよばれる移動式の円型住居で暮らしている。人も動物も自然もみな誇り高く、真剣に生きていることに心を揺さぶられる清々しい紀行文。椎名監督作品「白い馬」の原作。

画像:パタゴニア

『パタゴニア』

椎名誠 情報センター出版局 1987

 著者はドキュメンタリー作品撮影のため南半球秘境の地パタゴニアに旅立つ。チリ海軍の軍艦に乗船し、ドレーク海峡の島ディエ・ゴ・ラミレスに向かうが、途中、激しい荒波の航海となる。そんな中、日本に残してきた精神的危機にある妻のことを思い出しては不安に駆られる。そして同時に会社員を辞めてから家庭を置き去りにしていた自分の半生を振り返る。旅行記である本作には広大な風景写真も添えられている。

画像:わしらは怪しい雑魚釣り隊

『わしらは怪しい雑魚釣り隊』

椎名誠 マガジン・マガジン 2008

 椎名誠の超人気シリーズ『怪しい探検隊』刊行から約30年。「わしらは怪しい探検隊」 「北へ」「不思議島へ行く」「海で笑う」「アフリカ乱入」「焚火発見伝」「焚火酔虎伝」等、ファンの心を魅了した人気シリーズの最新版である。怪しいおじさんたちがナベカマを振り回して釣りの旅をする。そして「雑魚釣り隊」なのでねらいはいつも雑魚である。平成17年から19年まで『つり丸』で連載されており、釣りファンにも楽しく読める。

画像:『十五少年漂流記』への旅

『『十五少年漂流記』への旅』

椎名誠 新潮社 2008

椎名が子どもの頃夢中で読み、探険家に憧れるきっかけになった本『十五少年漂流記』(ジュール・ヴェルヌ/作)。舞台のモデルはマゼラン海峡のハノーバー島といわれていたが、ある歴史学者がニュージーランドのチャタム島ではないかという説を打ち出した。その謎を探るため、2つの島へと向かう。それらの島の風土や『十五少年漂流記』の魅力、モデルになった島についての考察を、世界の色々な異世界での体験も織り交ぜながら書いている

画像:ニッポンありゃまあお祭り紀行

『ニッポンありゃまあお祭り紀行』

椎名誠 カラット 2008

 日本全国各地で行われている、あまり知られていないマイナーで思わず“ありゃまあ”といってしまうような、ちょっと変わった、おかしなお祭りばかりを取材したもの。さらにその土地の食べ物や人とのふれあいなども紹介している。雑誌「自遊人」の2004年5月号から2008年1月号に連載されたものに加筆したものであり、カラー写真もふんだんに載っていて、見ているだけでも楽しくなるような読み物である。

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